二回の行事を一回分として見なす。こうした事例を民俗行事に見ることができる。
修正会・修二会は正月行事を二度行う。十五夜と十三夜の月見は二度見て願いがかなうという。正月とお盆の二度の行事、晦日(6月)と大晦日(12月)の二回の大祓の行事を行う。一年を二分するように、同じ行事を二度繰り返して一年の行事が完了する。つまり二回して始めて「1」回分としての儀礼的価値を有する。
大宝令(701年)、大祓が六月と十二月の晦日に決められる。平安時代『三代実録』においては、元慶元年四月の条に、「一日一夜。合為一日」とある。昼と夜の二回を、昼・夜合わせて一日と定める。
一日、一年を二分する対の構図が見られるように、左右対称など二つの事項を統合して、二回を合わせて「1」とする価値観を重視するようになった。それは、日本古来の二分する思考の上に、中国からの暦・易の根源的意味の「太一」に統合されたものである。律令制の左大臣、右大臣の上位に太政大臣が置かれたのと同様である。
正月と盆は、1年に2度営まれた先祖供養の行事であった(正月は魂祭りと称し、先祖を祀る行事であった)。
次の対応関係、共通性を見てみると、一年を二分している行事となっている。このように
二分する思考は、日本人の古くからの伝統思考となっている。
対応関係
1月1日 正月 7月1日 釜蓋朔日=地獄の釜の蓋が開く。 |
1月6・7日 若菜打ち・七草粥 7月6・7日 七日盆=盆の食器・女の髪を洗う。 |
1月14・15日 小正月 7月14・15日 お盆 |
1月20日 ハツカ正月 7月20日 ハツカ盆 |
共通性 |
正月 ― 年棚、門松迎え、トンド・鬼火などの火祭り お盆 ― 精霊棚、盆花とり、迎え火・送り火・柱松という火焚き行事 |
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