「1」の論理は神仏の領域を示し、あの世的世界とこの世的世界を切り分ける役割を持っている。あの世的精神文化の「1」は民俗儀礼、芸術文化、スポーツ、日常生活など日本文化の隅々まで及んでいる。「1」の持つ精神性は、民俗儀礼における宗教性を高め、芸術文化の美意識を深め、また日常生活の繊細な挨拶、職業気質に影響を与え、欧米文化にはない日本独特の文化と言える。
しかし、「1」の論理性は消えつつも、儀礼的・日常的には全く違和感なく使いこなしているが、その意味が十分理解されているとは言い難い。その結果、「1」の論理に無理解な「都民ファースト」の言葉が乱舞し、スポーツの試合で「日本ファースト」の応援の言葉がキャスターから出るまでになる。欧米論理が優先される「1」となる。完全無欠を目標とする「1」である。日本の論理は優劣を競わせる「1」ではない。
新たに再考する機会になれば幸いである。
(了)
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