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【2】奈良・平安時代

  • koufukujihokutoshi
  • 2025年12月31日
  • 読了時間: 2分

檜峰神社の創建

 二股状に裂かれたV字形の巨石の姿から二神に分化して神格化される。自然崇拝された神に神格の名称が付与される。

 「八岳の嶺八裂て屏しき聳たるは石長姫命の醜容に肖たり」(甲斐叢記)と見られる。

 盤石な巨石は、永遠の生命を保証する磐長姫命の姿と見られている。

檜峰神社の石祠  (執筆者撮影)
檜峰神社の石祠  (執筆者撮影)

 巨石の二股の原因が落雷により裂かれたと見ると、「雷」を連想し八雷神が祭神として命名される。八雷神は、火の神であるカグツチ命が死に至らしめたイザナミ命の黄泉の国での死体から生まれた神である。また二股の巨石は、カグツチ命がイザナギ命によって剣で首を切り裂かれた姿とも見られる。

 八雷神の命名は、火に関わる落雷や火の神カグツチ命などに影響されている。そのことから、火を起こす意味に由来する「檜」の字を用いて神社の名称を「檜峰」としたのである。       

 このように火に関わる檜峰神社の祭神である八雷神は、巨石の形状に相応しい神々を『記紀』神話の中から選び取られている。

 二神は、権現岳頂上の東側の巨石の下に置かれた石祠の檜峰神社に祀られている。ここに八ヶ岳の神が誕生したのである。

 檜峰神社について、『三代実録』に、貞観十年(八六八)九月十七日条、「甲斐國無位桧峰神社に従五位下を授く」とある。同一の名称の神社が笛吹市御坂町上黒駒にあり、二つの檜峰神社があった。

  二つの檜峰神社の祭神は異なり、次の通りである。

笛吹市御坂町上黒駒の「檜峰神社」。

祭神 高皇産霊尊、大己貴神、神皇産霊尊、少彦名神。

八ヶ岳の「檜峰神社」。

祭神―八雷神(やくさのいかづちのかみ)、

磐長姫命(いわながひめのみこと)。

 ここでは、『三代実録』の檜峰神社はいずれにしても、檜峰神社の創建は平安時代にあたると考えられる。権現岳の「檜峰」は平安時代には呼称されていたことになる。  

 権現岳は、古代以前の景観に奈良・平安の神話的世界が彩られた山であり、自然崇拝の磐座信仰を持つ巨石の上に、「記紀」神話の神々が重ねられたのである。

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